〜地域の想いを世界へつなげる〜

はじめに

地域に根ざし、人と想いをつなぐプロジェクトを立ち上げるとき、最初のハードルは「想いを形にする場所」をつくることです。

そのスタートに最適なプラットフォームが、GitHub Pages です。

私たちが運営する「こうのすプラス」は、GitHub Pages とともに生まれ、少しずつ成長しています。この記事では、GitHub Pages が持つ可能性と、地域メディアや地域ブランドにこそおすすめしたい理由を、実体験をもとにご紹介します。


GitHub Pagesとは?

GitHub Pages(ギットハブ・ページズ)とは、ソースコードのバージョン管理サービス「GitHub」が提供する、無料でWebサイトを公開できる仕組みです。

HTMLやMarkdown、CSSなどのファイルをGitHubにアップロードするだけで、Webサイトとして世界に公開できます。開発者向けのサービスとして知られていますが、実は静的なWebサイトを運営したい非エンジニアや地域メディア運営者にも非常に向いています。

主な特徴:

  • 完全無料(ストレージ・転送量も無料)

  • 独自ドメインやSSL(HTTPS)対応

  • 高速なCDN配信

  • Jekyllなどのサイト生成ツールに対応

  • GitHub上でファイルを更新するだけで反映

※CDNとは、世界各地にキャッシュサーバーを設置し、利用者の近くからコンテンツを届ける仕組み。ページ表示が速く、負荷にも強いのが特徴です。


● 静的サイトとは?(そしてその限界を超える方法も)

GitHub Pages が対応しているのは「静的サイト」と呼ばれる形式のWebサイトです。 静的サイトとは、サーバー側で動的な処理(ログイン・検索・コメントなど)を行わず、あらかじめ用意されたHTMLや画像を表示するだけのシンプルな仕組みです。

この仕組みにより、

  • 表示が速く、トラブルも少ない

  • セキュリティリスクが低い

  • サーバー管理が不要 という利点があります。

とはいえ、静的サイトだからと言って、動的なサービスを諦める必要はありません。外部サービスを組み合わせることで、次のような“動的な機能”も実現可能です:

  • お問い合わせフォーム → Google Forms や Formspree

  • コメント欄 → Disqus や GitHub Issues 連携

  • 検索機能 → JavaScriptベースのクライアント検索(Lunr.jsなど)

  • 地図表示 → Google MapsやOpenStreetMap API

  • SNS埋め込みや分析ツール → TwitterタイムラインやGoogle Analytics

このように、静的サイトでありながら外部サービスの実装やJavaScriptでのクライアント側の処理を取り入れる工夫により、必要な機能を柔軟に実現できます。むしろ、現代には優良でセキュアな外部サービスの選択肢がたくさんあるので、あなたのサイトに必要な動的サービスは外付けした方が保守性が格段に上がります。

地域メディアのように「情報を発信すること」が中心のサイトには、この静的構成が非常に適しています。


GitHub Pages は「小さく始めて大きく育てる」ことができる

あなたの想いやアイデアは、完璧である必要はありません。
小さな思いつきや簡単なページでも、GitHub Pages なら無料で公開でき、日々の改善や追加を通じて育てていけます。

誰かに伝えたい想いや、名もなき地域の食べもの、自然、老若男女の声。
それらは、技術を味方につければ確かな形となり、世界へ届けることができます。


GitHub Pages が地域ブランドに向いている理由

● 無料で高品質

  • 独自ドメインの設定も可能。HTTPS(SSL)にも対応。

  • グローバルCDN(コンテンツ配信ネットワーク)によって、世界中のユーザーに高速配信。

  • サーバー管理は不要。運用の手間が最小限。

● 計画的なメディア運営が可能

Markdown + Jekyll を使えば、ブログ感覚で記事を更新できます。CMSのような役割を果たし、シンプルながら本格的なコンテンツ運営が可能です。

● OSSとのつながりが生まれる

GitHubで公開することは、情熱を共有する仲間との出会いのきっかけにもなります。
地域のエンジニアや小さなコミュニティが、プロジェクトに参加したり広めたりすることができます。


技術選定には、思想があらわれる

「なぜ WordPress ではないのか」「なぜレンタルサーバーを使わないのか?」
それは、私たちが『自分で構築し、自分で書き、自分たちの力で変えていく』ことを重視しているからです。

技術を選ぶということは、自分たちの信念を選ぶということでもあります。
GitHub Pages を選ぶことは、「コストに縛られず、自由でオープンな発信」を選ぶという意思表示でもあります。


「こうのすプラス」の実践例

私たちは、「こうのすプラス」の第1ページを GitHub Pages で作りました。

  • Jekyll + Markdown で記事を構成

  • GitHub Actions で自動デプロイ(=記事の保存と同時にWebサイトを自動更新)

  • ローカルデバッグも可能でありながら、CDN経由で高速配信

  • 高速読み込みの画像対応(Webフォント、スマホ対応)

※GitHub Actionsとは、GitHub上で動作する自動処理機能で、ファイルを更新すると自動でサイトのビルド・公開まで完了させることができます。

これからも、地域の声を、誰よりも熱く、自分たちの手で発信していきます。


おわりに

GitHub Pages は、単なるサービスではありません。

それは、「この地域を愛し、この地域を良くしたい」と願う人たちにとって、想いを形にするためのツールであり、可能性そのものです。

小さく始めよう。 そして、大きく育てていこう。